高松市塩上町で明治時代からご商売をつづけている米屋ながはらさん。4代目店長の永原正隆さんは、大変なアイデアマンで、インターネットやニュースレターなどお客さんが喜ぶための工夫を絶えずしています。
昔ながらの成熟した業界でご商売をしていても、仕事の仕方に少し工夫を加えていけば、新しい視野が開けて、仕事がどんどん楽しくなってくることを、永原さんは教えてくれます。
インタビュワー: ここにある手書きの印刷物は、ニュースレターですか?
米屋ながはら 永原正隆さん(以下、永原さん): はい。文章をまず私がワープロで入力して、それを手書きしてもらいます。一般的な順番とは逆ですね(笑)。でもこちらのほうがお客様が読んでくれるんです。お客様との間であった会話や出来事を中心に書いています。
インタビュワー: いつ頃からやられているんですか?
永原さん: ニュースレター自体は始めて1年半ほどですね。そのネタになるようなお客様とのコミュニケーション、HPやメルマガでの情報配信。たくさんあって肝心のお米を売ることを忘れてしまいそうです(笑)。このように今でこそ積極的にやっている私ですが、以前は実は全く逆だったんですよ。「お客様に対して冗談を言うなんてとんでもない!」てな具合で、「堅物」そのものでした。
インタビュワー: とても気さくな永原さんを前にして、今のお話の真偽を疑うばかりですが(笑)、またどうしてそこから「変身」することになったのですか?
永原さん: ある日お客様からクレームが来た。「お宅で買った米がまずい」というんです。私の自宅ではとてもおいしく食べていたお米なのに、おかしいなと。それでよく聞いてみると、お米そのものではなく、その炊き方の基本が全くできていないことが分かったんです。そこで私は、〈おいしいお米の食べ方〉という小冊子をワープロでこしらえ、店頭に置いてみました。そうしたところ、持ち帰られたお客様からとてもよい反響をいただいた。そのとき「お客様に米を売る」ではなく「お客様とお米を楽しむ」という考えに目覚めたんですよ。それでもう完全にキャラクターを変えました。以前からのお客様は「あんたなんしょんな」とポカーンでしたけどね(笑)。自分のことは何でも話す。コンプレックスもネタにしちゃう。最初は少し頑張りましたが、やっているうちに楽だなぁって感じるようになりました。
インタビュワー: 「ご商売のスタイル」を超えてもはや「人生観」ですね、このスケールは。それにしても、なによりそのキャラクターを日々楽しまれていることが良く伝わってきます。
永原さん: 「おすそわけ」なんてものもほとんど無くなり、ジャンクフードに囲まれた現代だからこそ、みんなでおいしいお米を食べることの重要さは切実なのではないでしょうか。高価な品種をおすすめしたり売る品種を増やしたりすることは、商売のやり方としては簡単です。でもそうではなく、いろんなチャンネルを通してお客様に「知って」「集って」「食べて」「笑って」もらう。そうやってお米との素敵な関わり方を見いだしていただくことが、今の自分の仕事だと思っています。
インタビュワー: さっそく、教えていただいた玄米の炊き方、帰ってやってみます。今日はありがとうございました。
永原さん: はい、絶対においしくなりますよ。ぜひ報告してくださいね。ありがとうございました。
編集企画:スタジオとみっぺ 平成20年6月11日米屋ながはらにて
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有限会社 米屋ながはら 本社所在地 〒760-0062 高松市塩上町 代表者 永原正隆 TEL 087-831-2822 URL http://www.11kome.com/ |